
TOEIC420点だった私が、アメリカ駐在中にリスニング力を一気に伸ばせた理由
アメリカ駐在が決まったものの、英語が話せない。
現地の会議で何を言われているのか理解できるだろうか。
電話やレストラン、病院などで、きちんと対応できるだろうか。
そんな不安を抱えていませんか。
特に、日系の化学メーカーや製造業で働いていると、技術的な知識や業務経験はあっても、英語を使う機会がほとんどないまま、突然アメリカ駐在を命じられることがあります。
私も、まさにその一人でした。
アメリカ駐在が決まった当時のTOEICスコアは420点台。
英語を話せないだけでなく、相手が何を言っているのかもほとんど聞き取れませんでした。
それでも、約7年間のアメリカ駐在を経験し、帰国前に受験したTOEICでは、リスニングスコアが430点まで伸びました。
TOEICのリスニングは495点満点なので、約9割近く正解できるレベルです。
もちろん、帰国子女のようにネイティブと自由自在に話せるようになったわけではありません。
しかし、会議の大枠を理解し、相手の質問を聞き取り、日常生活で大きく困らない程度には英語を使えるようになりました。
この記事では、TOEIC420点台で英語が話せない状態からアメリカ駐在を始めた私が、なぜリスニング力を伸ばすことができたのか、実体験をもとに紹介します。
これからアメリカ駐在を控えている方や、現地に赴任したものの英語が聞き取れずに悩んでいる方の参考になれば幸いです。
アメリカ駐在で一番つらかったのは英語でした
アメリカ駐在と聞くと、華やかな生活を想像する方も多いと思います。
海外で仕事ができる。
日本とは違う文化を経験できる。
駐在手当が支給され、収入が増える。
家族でアメリカ旅行を楽しめる。
ディズニーワールドや国立公園へ行ける。
確かに、アメリカ駐在には日本では経験できない多くの魅力があります。
私自身も、家族と一緒にさまざまな州を旅行し、アメリカならではの生活を楽しみました。
しかし、駐在当初に最もつらかったのは、仕事でも生活でもありません。
英語でした。
赴任した当時の私は、英語がほとんど話せませんでした。
簡単な自己紹介や、あらかじめ準備した文章を読むことはできても、相手から突然質問されると答えられません。
それ以前に、相手が何を言っているのか分からないことが頻繁にありました。
TOEICは420点台。
リスニングとリーディングを合わせてこの点数だったため、英語に自信がある状態とは到底言えませんでした。
化学メーカーで開発業務をしていたため、材料名や試験方法などの専門用語は多少知っていました。
しかし、専門用語を知っていることと、英語でコミュニケーションが取れることはまったく別です。
会議で知っている単語が聞こえても、文章全体の意味が理解できません。
現地社員から質問されても、質問の意図が分からず、見当違いの回答をしてしまうこともありました。
アメリカ駐在が決まったときは、
「現地に行けば自然に英語が話せるようになるだろう」
と、どこかで楽観的に考えていました。
しかし、現実はそれほど甘くありませんでした。
日系企業では英語が通じてしまう
私が勤務していたのは日系企業のアメリカ拠点でした。
現地社員の多くは、日本人駐在員との仕事に慣れています。
そのため、こちらの文法が間違っていても、単語を並べただけでも、何となく意図をくみ取ってくれました。
例えば、正しい英語で文章を作れなくても、
“Sample test tomorrow.”
“Customer need data.”
“Please check this result.”
といった単語中心の英語でも、業務の背景を知っている現地社員であれば意味を理解してくれます。
日本人特有の発音にも慣れているため、多少発音が悪くても聞き取ってくれます。
これは、英語が話せない駐在員にとって、本当にありがたい環境です。
しかし、同時に大きな落とし穴でもありました。
会社の中で何とか仕事が進むと、
「あれ、意外と自分の英語は通じているかもしれない」
と勘違いしてしまうからです。
私も赴任してしばらくすると、少しずつ英語に慣れた気になっていました。
会議でも知っている単語が出てきます。
資料を見ながらであれば、ある程度話の流れを予想できます。
現地社員もこちらに配慮して、ゆっくり話してくれます。
そのため、英語が上達したように感じていました。
しかし、会社の外に出ると、自分の英語力の低さをすぐに思い知らされました。
社外に出た瞬間、英語がまったく通じなかった
会社の外には、日本人の英語に慣れている人ばかりがいるわけではありません。
レストラン、ホテル、電話会社、病院、自動車ディーラー、学校、役所などでは、相手は通常のスピードで英語を話します。
こちらが日本人だからといって、必ずしもゆっくり話してくれるわけではありません。
アメリカ駐在の初期には、英語に関する失敗を何度も経験しました。
電話で何を言われているか分からない
最も苦手だったのが電話です。
対面であれば、表情やジェスチャー、周囲の状況から内容を推測できます。
しかし、電話では音声しか情報がありません。
相手が早口で話し始めると、最初の数秒で分からなくなります。
一度聞き取れなくなると、焦りからさらに聞き取れなくなります。
何度も聞き返しているうちに、相手の声が明らかに不機嫌になることもありました。
途中で一方的に電話を切られた経験もあります。
たった一本の電話ですが、英語が苦手な人にとっては大きなダメージになります。
「もう電話したくない」
「次も通じなかったらどうしよう」
と考え、電話をかけること自体が怖くなりました。
レストランで違う料理が出てくる
レストランでも、注文したものと違う料理が運ばれてきたことがあります。
店員の質問を正しく聞き取れず、適当に“Yes”と答えてしまったことが原因です。
本当はサイドメニューや焼き加減、ドレッシングの種類などを確認されていたのだと思います。
しかし、何を聞かれているのか分からないため、とりあえず“Yes”や“OK”と答えてしまう。
結果として、想像していたものと違う料理が出てきます。
そして、違う料理が出てきても、英語で説明する自信がありません。
結局、何も言えずにそのまま食べたこともありました。
会社の会議では質問が分からない
仕事でも同じです。
化学メーカーの会議では、試験結果や配合、製造条件、品質問題など、専門的な内容が話し合われます。
資料に書かれている内容は理解できても、現地社員からその場で質問されると、何を聞かれているのか分かりません。
質問を聞き取れないまま、自分が知っている内容を一方的に説明してしまうこともありました。
相手の質問に答えていないため、当然会話はかみ合いません。
この経験から、私はあることに気づきました。
英語が話せないこと以上に、英語を聞き取れないことの方が深刻だということです。
英語は話す力よりも、まず聞く力が重要
英語が苦手な人は、スピーキングを重視しがちです。
私も駐在前は、
「英語を話せるようにならなければいけない」
と考えていました。
しかし、実際にアメリカで生活して分かったのは、会話の出発点はリスニングだということです。
相手が何を言っているのか分からなければ、正しい返答はできません。
どれだけ英単語を知っていても、どれだけ話すための例文を覚えていても、相手の質問を理解できなければ会話は成立しません。
反対に、相手が何を聞いているのか分かれば、完璧な英語でなくても何とか答えられます。
単語だけでもいい。
短い文章でもいい。
ジェスチャーを使ってもいい。
相手の質問が分かっていれば、必要な返答を考えることができます。
つまり、英語が話せないアメリカ駐在員が最初に伸ばすべき能力は、スピーキングではなくリスニングなのです。
アメリカ駐在はリスニングを伸ばせる最高の環境
英語が話せない状態でアメリカへ行くのは、精神的にかなり大変です。
しかし、見方を変えると、アメリカ駐在はリスニング力を伸ばすための最高の環境でもあります。
日本で英語を勉強していると、英語を使う時間は限られています。
英会話教室へ週に1回通ったとしても、英語を聞く時間は1時間程度です。
一方、アメリカ駐在では、毎日英語を聞かなければ生活できません。
会社の会議。
現地社員との会話。
スーパーのレジ。
レストランでの注文。
子どもの学校からの連絡。
病院の受付。
電話やテレビ、ラジオ。
生活そのものがリスニング練習になります。
もちろん、ただアメリカに住んでいるだけで自然に英語が上達するわけではありません。
日本人同士だけで行動し、仕事でも最低限の英語しか使わなければ、何年住んでいても英語力はあまり伸びません。
それでも、日本にいるときより英語に触れる機会が圧倒的に多いことは間違いありません。
私は駐在生活を続ける中で、少しずつ英語の音に慣れていきました。
赴任当初は単なる音のかたまりにしか聞こえなかった英語が、徐々に単語として聞こえるようになりました。
その後、文章の区切りが分かるようになり、最終的には会話の大枠を理解できるようになりました。
帰国前にTOEICを受験したところ、リスニングスコアは430点でした。
満点の495点には届きませんでしたが、赴任当初と比べると大きな成長です。
リスニング力が伸びると、仕事や生活の負担が大きく減ります。
会議で話の流れを見失いにくくなる。
相手が何を質問しているのか分かる。
電話への恐怖心が減る。
レストランや買い物で慌てなくなる。
英語を話すことへの抵抗も少なくなる。
リスニングが伸びることで、スピーキングにも良い影響が出てきました。
駐在初期にやるべきだったのは発音と基礎文法
約7年間のアメリカ駐在中、私はさまざまな英語学習を試しました。
英単語帳。
TOEIC教材。
オンライン英会話。
英語の動画。
海外ドラマ。
現地のテレビ番組。
その中で、駐在初期の英語初心者に特に重要だと感じたのが、発音と基礎文法です。
一見すると、リスニングを伸ばすためには英語をたくさん聞けばよいと思うかもしれません。
しかし、英語の音の仕組みを知らないまま、ただ聞き流しても、なかなか聞き取れるようにはなりません。
私自身、英語のニュースやラジオを流していたことがあります。
しかし、内容がほとんど分からないため、しばらくするとただのBGMになっていました。
知らない音は、何度聞いても知らない音のままです。
そこで重要になるのが発音学習です。
「自分で言える音」は聞き取りやすくなる
英語のリスニングでは、
「自分で正しく言える音は聞き取りやすい」
と言われます。
私も、発音を学んだことで、この意味を実感しました。
日本人が頭の中でイメージしている英単語の音と、アメリカ人が実際に発音する音は大きく異なります。
例えば、“water”を日本語のカタカナでは「ウォーター」と覚えます。
しかし、アメリカ英語では、地域や話し方によって「ワラー」や「ワダー」に近い音に聞こえることがあります。
“better”も、「ベター」ではなく「ベラー」に近く聞こえることがあります。
学校で覚えたカタカナ英語と実際の音が違うため、知っている単語なのに聞き取れないのです。
私も、文章を見れば意味が分かるのに、音声で聞くとまったく分からない単語がたくさんありました。
これは単語を知らないのではなく、実際の音を知らなかったことが原因です。
日本人が英語を聞き取れない理由
日本語と英語では、音の構造が大きく異なります。
日本語は、基本的に子音と母音がセットになっています。
例えば、
か、き、く、け、こ
は、ローマ字で書くと、
ka、ki、ku、ke、ko
となります。
一方、英語には子音だけで終わる音が多くあります。
さらに、実際の会話では、単語が一つずつはっきり発音されるわけではありません。
音がつながる。
音が弱くなる。
音が消える。
別の音に変化する。
このような現象が頻繁に起こります。
例えば、
“want to”は「ウォント・トゥー」ではなく、「ワナ」に近く聞こえることがあります。
“going to”は「ゴーイング・トゥー」ではなく、「ゴナ」に近く聞こえることがあります。
“next day”も、一語ずつ発音されず、「ネクスデイ」のように音がつながります。
“What are you doing?”も、話す人によっては「ワラユドゥーイン?」のように聞こえます。
英語初心者は、教科書に書かれている単語の音を一つずつ聞こうとします。
しかし、ネイティブは単語をつなげて発音します。
そのため、知っている単語で構成された文章でも、まったく別の音に聞こえてしまうのです。
英語が聞き取れないのは、耳が悪いからでも、才能がないからでもありません。
英語の音の変化を知らないまま、聞こうとしていることが大きな原因です。
発音学習はスピーキングのためだけではない
発音学習というと、
「きれいな英語を話すためのもの」
と思われがちです。
しかし、英語初心者にとっては、リスニングを伸ばすための学習でもあります。
自分で英語の音を出してみる。
口の形や舌の位置を確認する。
日本語にはない子音を練習する。
単語同士をつなげて発音する。
こうした練習をすると、英語を聞いたときに、
「今の音はこの単語だったのか」
と認識できるようになります。
特に、LとR、BとV、SとTHなど、日本語にはない音の違いを理解することは重要です。
最初から完璧に発音する必要はありません。
目的はネイティブのように話すことではなく、英語の音の仕組みを知ることです。
スマートフォンの発音アプリを使えば、自分の発音を録音したり、正しい音と比較したりできます。
毎日10分程度でも、実際に声を出して練習することが大切です。
リスニングには基礎文法も必要
リスニング力を伸ばすには、発音だけでなく基礎文法も重要です。
英語が聞き取れない原因を、すべて音の問題だと考えてはいけません。
音として聞こえていても、文の構造が理解できなければ意味をつかめないからです。
例えば、会議で長い文章を聞いたときに、
誰が行動するのか。
何をするのか。
過去の話なのか、未来の話なのか。
決定事項なのか、可能性の話なのか。
これらを判断するためには、文法の知識が必要です。
特に、主語、動詞、目的語の関係が分からないと、文章の中心を見失います。
英語初心者ほど、難しい文法を勉強しようとしがちです。
関係代名詞。
仮定法。
分詞構文。
現在完了。
こうした項目も大切ですが、その前に中学校レベルの基礎を理解する必要があります。
例えば、
be動詞と一般動詞の違い。
疑問文の作り方。
否定文の作り方。
過去形と現在形の違い。
助動詞の使い方。
代名詞の使い分け。
こうした基本が曖昧なままでは、長い英文を理解することはできません。
英文法は積み上げ型です。
基礎が抜けたまま応用に進んでも、理解できない部分が増えるだけです。
TOEIC420点台だった私に必要だったのは、難しい参考書ではなく、中学校レベルの英文法を一からやり直すことでした。
化学メーカー勤務でも難しい英語から始める必要はない
化学メーカーで働いていると、
「専門的な英語を覚えなければいけない」
と考えるかもしれません。
確かに、材料、配合、試験、品質、製造条件などの専門用語は必要です。
しかし、実際の会議で使われる英語の多くは、意外とシンプルです。
“Can you check this data?”
“When can you finish the test?”
“Why did the viscosity increase?”
“Did the customer approve the sample?”
“The result was different from the previous lot.”
このように、基本的な文法と専門単語を組み合わせた文章が多く使われます。
難しい構文を覚えるよりも、まずは基本的な質問と回答を確実に理解できるようになる方が、仕事では役立ちます。
化学メーカー勤務の駐在員であれば、自分の業務で頻繁に使う表現をまとめるのもおすすめです。
例えば、
試験結果を説明する表現。
原因を質問する表現。
納期を確認する表現。
顧客要求を伝える表現。
サンプルの発送を依頼する表現。
自分の仕事に直結する表現から覚えることで、学習内容をすぐに実務で使えます。
TOEIC500点以下なら英語を一度やり直す
アメリカ駐在が決まると、焦ってオンライン英会話を始める人も多いと思います。
しかし、TOEICが420点台や500点以下の場合、いきなり英会話を始めても、相手の英語が聞き取れず、ほとんど話せないまま時間が終わる可能性があります。
私自身の経験から言うと、英会話の前に、英語の土台を作ることが大切です。
おすすめの順番は、次の通りです。
まず、基礎文法を学び直す。
次に、英語の発音と音の変化を学ぶ。
短い英文を音読する。
音声を聞きながら、同じように発音する。
その後、オンライン英会話や現地での会話練習を増やす。
この順番で進めると、英会話の内容を理解しやすくなります。
分からない状態で無理に話すよりも、聞き取るための土台を作ってから会話量を増やした方が効率的です。
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英語の基礎から学び直したい方に紹介したいのが、「ゼロからの英語やり直し教室 New Beginning」です。





